介護技能実習生の新型コロナウイルスに関する理解度について(日本語の問題)

緊急事態宣言が解除され、技能実習生の実習実施先への訪問相談の依頼も徐々に再開されてきています。

今回は、ちょうど先日、技能実習生の新型コロナウィルス対策について相談を受けた介護施設を訪問して、直接見聞きしてきた内容のご紹介です。

「技能実習生は新型コロナウィルスについてどの程度の理解度があり、対策が取れているのか?」という問題を実際に見てきまして、みなさまが今後の対策について考える材料になるかと思い共有させていただきます。
これは広範囲な疫学調査ではないですし、統計学に基づいた調査でもありません。
一つの例として読んでください。

■新型コロナウィルスについての理解度
介護施設ということもあり、新型コロナウィルス対策の勉強会への参加や指導者からの指示、アドバイスによって、対応策そのものについてはかなり理解が出来ていました。
ただ、やはり日本語でのコミュニケーションという課題があり、施設内での対応策自体は理解し実行できているものの、なぜそれをすると効果的なのか、なぜそれはしない方がいいのかという理由までは理解できていない状態でした。
なので、指示したこと以外は自分で考えて対策をすることができない…ということですね。
N3を持っていて、日常の業務ではそんなに困ることは起きていない実習生に話を聞いたところ、新型コロナ対策を話すときに使用される単語や表現がこれまで聞いたことのないものが多く、戸惑っているとのことでした。
施設内では必ず指導員の目が届くため問題ないですが、宿舎に戻ったあとや休みの日などの生活習慣内でのコロナ対策はどこまで指導するべきか、感染リスク対策に苦慮している様子でした。

■新型コロナウィルスに関する情報源について
施設内での指示等については指導者や先輩から情報を入手していますが、日本のテレビは話すスピードが速いので情報源としては活用できていませんでした。
ネットニュースは辞書を引きながらでも自分のペースで読めるので、時々チェックをしているそうです。
そして主な情報源はというと、自国のニュースや情報をネットで確認しているとのことでした。
やはり自国語でチェックできるというのが大きな理由です。
そのため、日本政府や自治体から発信されている対策の方針や感染の現状等の情報は、最新情報を入手しづらい状況のようです。

この視察で感じた懸念点としては、各国の新型コロナウィルスに対する考え方や対応策に違いがあるため、その違いによる混乱が実習生のなかで起きていないかということです。
施設の一員である以上は施設の方針・対応策をまずは正確に理解できるようにするところから始めるべきだと考えます。
利用者さんだけでなく、技能実習生を守るためにも、監理団体、送り出し機関、通訳さんなどと連携して、実習生の新型コロナウィルスについての理解度を深める施策の必要があると感じた施設訪問でした。
これから具体的に何をするか、各関係者と練っていきます。